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| ウシ血清α1酸性糖蛋白(α1AG) |
α1AGは急性期反応蛋白の一つです。急性期反応蛋白とは「生体が急性炎症または組織障害などに遭うと急速(2〜3日後)に血液中の濃度が著しく増加する一群の蛋白をいう」と定義されています。つまり急性疾患、慢性炎症、感染症、手術後およびストレス負荷時などに於いて変動します。
健康なホルスタイン1歳〜12歳、152例の血清α1AGは283±82μg/mlで、オス、メスにおける差はなく、また他の品種においても差がないことから健康牛の正常値の上限は450μg/mlとされています(文献ウシα1AGの1)。
出生直後の子牛の血清α1AG値は300〜1,750μg/mlと正常値を超す例が多く見られますが、生後2週間以内に正常値に低下します。(図1)(文献ウシα1AGの2)。
臨床所見および諸検査により診断された各種疾患牛でα1AG値は異常をを示し、特に肝炎、創傷性心膜炎、産後起立不能、乳房炎などで高い値を示しています(図2、破線は正常値上限を示します)。(文献ウシα1AGの1、3)。また、治療や手術などにより病態の改善が見られた症例ではα1AG値は低下し、病態悪化では高値のままで経過しています(文献ウシα1AGの4)。 |
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| ウシ血清ハプトグロビン(HP) |
Hpも急性期反応蛋白の一つです。Hpは生体内でヘモグロビンと特異的に結合して複合体を形成し、肝臓に取り込まれ、ヘモグロビンが回収され再利用されます。
健康牛の血清Hp濃度は12±5μg/ml(平均±SD)と報告されています(文献ウシHpの4)。Hpの正常値上限は20μg/mlです。
Hpは乳房炎、急性子宮内膜炎、胎盤停滞(図3)、内臓変異、外傷性疾患、手術後等で正常値の50〜100倍と著しく上昇することが認められています(文献ウシHpの2、5)。特に、急性細菌感染症ではHpの急激な変化が起こります。しかし、非感染疾患や、慢性炎症ではそれほど上昇しないことが報告されています(文献ウシHpの1)。
子牛の皮下に炎症惹起剤であるテレピン油を各々4ml、7.5mlずつ注射した後、17日間連続して採血し、血清Hpを定量すると、一日目は変動を示さず、2日目よりテレピン油の投与量に依存して上昇が始まり、4日目が最も高く、その後5〜6日目より低下し、8〜11日目には検出されなくなりました。(図4,テレピン油注射 4ml−▲−、7.5ml−■−、15ml−●−、実線は標準偏差を示します)(文献ウシHpの1)。 |
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| ウシ乳汁中のラクトフェリン(Lf) |
Lfは血清中に微量検出されますが、主に乳汁中に存在しています。Lfは鉄結合性糖蛋白で、体液中の鉄イオンを奪うため、鉄を必要とする細菌に対して抗菌作用を有しています。
乳汁中のLf量は体細胞数と正の相関があり(図5)特に乳房炎、乾乳期乳汁、初乳で高値を示します(文献ウシLfの1)。
ホルスタイン健康乳汁(111例)のLf濃度は平均値169(平均±SD、68〜419)μg/mlでしたが、年令別では泌乳牛2歳の乳汁中Lf値に比較し、5歳、6歳では有意に低下しており、年齢が進むと低下することが報告されています(文献ウシLfの11)。
さらに臨床型乳房炎の乳汁Lfは平均値876(平均±SD、323〜2,379)μg/ml、潜在性乳房炎では平均値495(平均±SD、199〜1,299)μg/mlを示し、正常乳Lfに比べ4〜8倍と有意に高値であることが報告されています。(図6)(文献ウシLfの10)。
ホルスタイン乳牛(2〜6歳)の乳房内に大腸菌の内毒素を投与すると、投与前の体細胞は18万個/mlでしたが、投与後1日目では920万個と約50倍に増加し、その94%は多形核白血球でした。体細胞数は2日目までに増加し、その後急激に減少し、10日目には正常に戻りました(図7)。この場合、乳汁中Lfは大腸菌の内毒素を投与後1日目では変化が少なく、2日目に約1,000μg/mlと対象の5倍以上に上昇しました。3日目以降にLf値は低下し、10日目には正常値に復帰しました。内毒素を投与しなかったウシでは体細胞やLfの変動は見られなかったと報告されています(図7)(文献ウシLfの2)。
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| ウシ血清免疫グロブリンG(lgG) |
血清中の免疫グロブリンとしてlgG、lgA、lgMが知られています。ウシのlgGにはlgG1とlgG2のサブタイプがあり、成牛の血清中のlgG1は1.0g/dlで、lgG2は0.79g/dlと言われており初乳ではlgG1は7.5g/dl、lgG2は0.19/dlの濃度です(文献ウシIgGの7、15)。lgAは血清中に0.03g/dl、乳汁中では0.44g/dl、またlgMは血清中に0.03g/dl、乳汁中に0.49g/dlの濃度で含まれています。
新生子牛の血清中lgG1はほとんど検出されませんが、初乳を補飲することによってlgG1(母親からの抗体)が増加します(図8)。新生子牛は母親の初乳を介して抗体を獲得しますので、子牛の感染防御の上で初乳補飲は極めて重要です(文献ウシIgGの5)。lgG2も同様に初乳の捕飲により移行されますが、濃度としては非常に僅かです。これらlgGは生後2ヶ月前後に体内で合成が始まります。 |
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ウシ血清アポリポ蛋白
(Apo B−100、A−I) |
血液中の脂質は特定の蛋白質と非共有結合し、疎水性の複合体をしており、アポ蛋白質は生体内で脂質の運搬や細胞内の脂質代謝を担っています。低比重リポ蛋白(LDL)にはアポリポ蛋白B−100が結合し、高比重リポ蛋白(HDL)にはアポリポ蛋白A−Iなどが結合しています。血清LDLの濃度とアポB−100値のあいだには相関性が認められています。アポB−100やアポA−Iはケトン症、脂肪肝、絶食時や周産時に減少を示します(文献ウシApoの2,9,15)。
健康牛の血清アポB−100およびアポA−I濃度を示しました(表1および表2)。 |
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